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名前に関する参考書籍

 諸事情によりロックされてしまいましたが、 ロック直前に、名前に関する書籍の話題があり、お薦めを聞かれ、 パラパラと見返してみました。 「日本人の姓・苗字・名前」大藤 修 著 「苗字と名前の歴史」坂田 聡 著 この2冊はとても勉強になります。 200~250頁くらいなのですぐに読めるものと思います。 どちらも夫婦別姓に賛同している人であることは著書からもわかります。 そこで少し考察してみました。 「旧姓拡大」 今は旧姓拡大によってこれらの著作物のころと比較して自由度は増しています。 パスポート、免許証、銀行や資格などでも旧姓が使えるようになってきたのは 本当に最近のことです。 旧姓拡大は実質的な選択的夫婦別姓です。 しかも、シチュエーションに合わせて使い分けられるとても便利な制度です。 家では家族一緒の名字を名乗り、仕事では旧姓を名乗る。 その場に応じて利便性のあるほうを選択できるとても合理的な制度です。 海外へ渡航する際に親子で名字が異なる場合にはトラブルも多く、 別途証明がなされない場合に足止めを食らって問題になっている話は多くあります。 そのような理由から海外でもファミリーネームは重要視されています。 そして、多くは旧姓をセカンドネームにしています。 日本の旧姓拡大と変わりありません。 それを踏まえた上で、 「苗字と名前の歴史」において著者坂田聡さんが書いている ポスト家社会 = ポスト伝統社会 を考えると、すでに過去の伝統的な家社会は存在していません。 そして、「夫婦別姓」反対論というのは形を変えていると見えます。 もう古い「家社会」というのは存在しません。 しかしながら、便宜的な家の名は残っています。 日本における名字は家の名前です。 しかしながら、昔ほどにそこに縛られてもいません。 旧姓を使い分けるのも自然な行為になっています。 多くの現行制度維持派の人たちも夫婦別姓自体に反対しているわけではありません。 現行制度維持を目的とした上で、戸籍の変更などに反対しています。 子どもを主体として考えた際に日本の制度はとても良くできていて先進的です。 その上で、内縁も判例的に認められ、地方自治体ではパートナーシップ制度もあり、 実効的な夫婦別姓を整備する動きはあります。 しかし、多くの推進派団体は実効的な益ではなく、戸籍だけに拘ります。 そこに大きな違和感...

日米戦争を考える(概略)

 なぜ日米戦争が起こったのか (フーバー元大統領の回顧録より)、、、 ルーズベルトのオレンジ計画で1920年代から日本はターゲットにされていた。   経済制裁も1930年代からじわじわと行われ、 ルーズベルトはずっと日本の喉元に刃をつきつけ続け抵抗するのを 待っていたがなかなか抵抗してこないのでとうとう 1941年7月、 日本の在米資産も凍結 し、 日本への爆撃を決定 した。 それでも日本は交渉を続けるがルーズベルトは全く応じる気はない。 そのため日本は負けることが解っていても戦うしか道がなかった。 9月に日本在米大使館からもイギリス在米大使館からも ルーズベルトに 和平 を提案しているが、 ルーズベルトは拒否している 。 (戦争状態と見られているため和平という話になる) 長年かけて日本が死ぬまで追いつめたのがルーズベルト、 死ぬか戦うかの選択しかなかったため日本は負けるとしても戦った。 ギリギリまで日本は和平を求めていたがルーズベルトは応じなかった。 1941年12月、日本には戦うか死ぬかしか道がなかった。 マッカーサーらは1941年7月の経済制裁について 宣戦布告なき戦争のはじまりだったとし、 同時期に日本への爆撃が決まっていた。 日本はアメリカと戦えば負けることは明らかだったが選択肢はなかった。 爆撃で何もかも焼き払われるか一矢報いるかくらいの話でしかない。 運良くなのか悪くなのかアメリカ側の爆撃が遅れ、 それが真珠湾攻撃という形になった。 (1937年から日本爆撃計画はあり、1941年7月に大統領が爆撃を承認している) 日米戦争は7月にはじまっていた。   日本人は日本の近代史をちゃんと見つめ直すべきである。   参考文献: FREEDOM BETRAYED ・George H.Nash 日米戦争を起こしたのは誰か ・加瀬英明/藤井厳喜/稲村公望/茂木弘道 ルーズベルトは米国民を裏切り日本を戦争に引きずり込んだ ・青柳武彦  

明治初期の妻の地位

  明治初年の妻の地位 ー婚姻届出制との関連におけるー 松本暉男  著 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jalha1951/1960/10/1960_10_111/_pdf/-char/ja   明治民法が施行される前にも夫婦の多くが夫婦同姓であったことは諸所のものから伝わってはきている。実際に当時どうであったかはここでも記載がある。   主に明治8~10年あたりの妻の地位として、松本暉男氏によると(上記資料134頁参照) 明治9年に太政官指令によって、妻は所生の氏を名乗ることと指令が出たが、 夫の族籍を取得し、夫の家に入って相続するときには違ったとある。 太政官指令  伺之趣婦女人ニ嫁スルモ仍ホ所生ノ氏ヲ用ユヘキ事  但夫ノ家ヲ相続シタル上ハ夫家ノ氏ヲ称スヘキ事   妻が夫の姓を名乗るときには入籍が条件とされたとある。 入籍を要件として妻の地位が確立してきたとある。 士族の夫婦別姓では妻は借り腹というだけであったが、 明治の庶民の妻は世帯の中核であり、家督を中継的に相続していたようだ。 実際に幕末から明治に活躍していた女性を見ても夫婦同姓は目立つ。 https://jacksnotebook2.blogspot.com/2021/03/httpwww.html   そもそも庶民の夫婦同姓というのは明治にはじまったものでもない。 https://jacksnotebook2.blogspot.com/2021/10/100.html  前近代の一部士族のものこそ例外的であったと考えるべきかもしれない。 名字・苗字とは土地から取られているという説も強い。 それゆえに同じ場所に住むものの名乗る名とも言える。 氏姓は血族や役割を示すため夫婦でも別々とされる。 一部士族で苗字が氏化していったのは、同じ氏が増えすぎたのかもしれない。 また、単に氏姓と混同してしまっていたのかもしれない。 氏姓は与えられるものであり、名字は自然発生したものと言われる。 夫婦別姓同苗字というのが自然な形のようである。 --- ※今でいう夫婦同姓は夫婦同苗字のことを指します ※※明治以前は、氏・姓・苗字など複数ありました    庶民には苗字帯刀禁止が69年ほどの間だけありましたが、...

選択的夫婦別姓を考える(2)

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 田村淳さんが連日アンケートを取っていましたね。 https://twitter.com/jack88912057/status/1448304331409686544                      選択的夫婦別姓導入による利益 59264票 x  15% =  8890票 選択的夫婦別姓導入による不利益 169849票 x  33% =  56050票 単純にこの数字だけからは 不利益が利益の 6.3倍 です。 不利益って何でしょうか? 想像に容易いものを列挙していってみます。 導入して出る不利益 ・親子別姓増加 ・既婚者にも別姓導入懸念(もめ事増) ・名字の意味が失われる ・A=B が A=B or C となり制度自体の価値低下 ・民法変更による負荷 ・関連法制度整備負荷 ・役所のシステム変更による負荷 ・民間企業での家族取扱システム変更負荷 ・その他 出そうな不利益 ・戸籍いじり、戸籍破壊 ・パスポートの価値低下 ・妻の地位低下 ・日本特有の配偶者保護廃止 ・制度強化のための簡易性低下 ・旧姓使用禁止 ・その他 それに対して出る利益とは何でしょうか? 田村淳さんは手続きの面倒さを上げていました。 銀行やパスポートなどを示しています。 https://twitter.com/atsushilonboo/status/1447204192540508175 パスポートは併記可能になり便利になったと聞きます。 銀行手続きは銀行側の問題なようにも感じますし、昨今では旧姓で口座を作ることが可能な銀行もあります。また、以前であれば屋号扱いで旧姓を使い続ける方法もありました。 ちなみにですが、銀行などは名前が変わらなくても結婚した場合には変更届が必要です。   本当に利益になるの?   日本は重婚を禁止しているので、 同名字を名乗らないことは周知要素が減ります。 そのための施策を追って実施する可能性はあります。 海外でも婚姻法令や制度を変更した後に、 制度自体を補強することは普通にあります。 何らかの社会告知要素を盛り込む可能性はあります。 たとえば、メキシコでは結婚式が婚姻要件になっ...

選択的夫婦別姓を考える(1)

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 つい先日、田村淳さんのtwitterにてアンケートがありました。               選択的夫婦別姓に 賛成    35.9% 反対    52.1% わからない 12.0% https://twitter.com/atsushilonboo/status/1446763986792321025   反対多数となっています。 少し前のyahooアンケートでは             賛成    35.7% 反対    62.0% わからない  2.3% でしたね。    内閣府による世論調査では 夫婦同姓前提 53.7% (現行維持 + 旧姓拡大) 別姓法律賛成 42.5% わからない   3.8% https://survey.gov-online.go.jp/h29/h29-kazoku/gairyaku.pdf    夫婦同姓前提の答えが多数となっています。 どのアンケートや世論調査でも過半数が反対を唱えています。 賛成している中でも実際には影響がないなら賛成しても良いという程度の許容的賛成派が多数いそうです。   その根拠としては、 法律を改めてのかまわないという42.5%の人たちに 実際に別姓を希望するかの質問に対して、               https://survey.gov-online.go.jp/h29/h29-kazoku/gairyaku.pdf 19.8%の人がしたいと答えています。 これは 42.5% x 19.8% = 8.4% となっています。 (実際は恋は盲目と言うように、相手が見つかったら変わるかもしれません)    2018年の日本人意識調査にて今の生活に満足している人は92%です。 多くは現状維持が良いと考えています。             https://www.nhk.or.jp/bunken/research/yoron/pdf/20190107_1.pdf ...

夫婦同姓がキリスト教由来とするのは本当か

  選択的夫婦別姓を推進する人たちが キリスト教からの輸入だとする夫婦同姓 これは本当かどうか 現代で言う「夫婦同姓」というものは、昔で言うところの「夫婦同苗字」、 これは多くの名前や歴史の専門家の共通見解です。 夫婦同姓はたかだか100年のものなのか https://jacksnotebook2.blogspot.com/2021/10/100.html   庶民風習として夫婦同姓(夫婦同苗字)は明治以前からの風習です。 キリスト教由来とする一部の専門家は、 明治20年前後の近代化によるものと示唆します。 明治に姓氏苗字などが統合された中で民法を起草した梅謙次郎氏は 姓氏の方法に従うのはシナの慣習と示し、 実際の慣習にそむくとしている(「民法要義」巻之4(親族編)43頁) これは姓氏は大陸から持ち込まれたもので、苗字は日本で自然発生したものである ところからのお話です。 明治10年前後においても庶民の夫婦が夫婦同姓であったことは様々なものから伺える。 明治8~10年の妻の地位   https://jacksnotebook2.blogspot.com/2021/10/blog-post_15.html 幕末から明治初期の女性の名字に関する考察 https://jacksnotebook2.blogspot.com/2021/03/httpwww.html    姓と苗字の違い https://jacksnotebook2.blogspot.com/2021/09/blog-post_30.html 起草者の話通りに実際の慣習は夫婦同姓(同苗字)であり、 キリスト教の入る余地はありません。 また、当時のフランスやドイツにおいて、 夫婦同姓の法規定はありません。 別姓推進派の人たちはよくドイツからの輸入とも言いますが、 日本の民法草案のほうが先です。 これも史実と異なる話です。 フランスから教えられたことは民法は民衆の習慣から作るものということです。 そのため、日本が李氏朝鮮に対しても同様に地元の慣習から民法を作らせています。 夫婦別姓が慣習の国には夫婦別姓の民法を制定させています。 ドイツから持ち込まれたものは法律の著述方式としてのパンデクテン方式を採用しただけで内容はそれまでの草案と変わっていません。ここでは伊藤博文...

夫婦同姓はたかだか100年のものなのか

選択的夫婦別姓の話において、 推進派の人たちが口々にする「たかだか100年のもの」とする夫婦同姓、 果たして、それは本当かどうか 現代で言う「夫婦同姓」というものは、昔で言うところの「夫婦同苗字」である。 これは多くの名前や歴史の専門家の共通見解です。 別姓推進の人たちは明治から庶民は名字・苗字を名乗るようになったと言う人が多い。 しかしながら、実態は異なります。  1952年「江戸時代の一般庶民は果して苗字を持たなかつたか」(洞富雄著)が発表されると、次々に同様の出版物や発表が続いていきます。それにより、江戸時代の庶民も苗字を私称していたことは当時の常識となっています。 ところが1996年の夫婦別姓法案答申あたりには、夫婦同姓はたかだか100年の歴史しかないという史実にないことが流布されだします。そこから四半世紀経過し、今も夫婦別姓を推進する人たちの中でそのようなことを言い続けている人たちがいます。 半世紀前では世間一般に周知されたことが気づけば混沌としてきています。 恐ろしいことです。 明治以前にも庶民が苗字を私称していたことは明らかになっています。 そこで、大多数の町民農民などの夫婦はどうなっていたかと言えば、 夫婦は同苗字であったこともわかっています。 坂田聡氏は著書の中で南北朝時代まで遡れると示しています。 つまり500~600年前くらいは続いてきたものです。 後藤みち子氏の著書によれば600~700年と示されています。 つまり、 「たかがか100年」というものではありません。 ーーーー 参考文献 ーーーーーーーーーー 「日本人の姓・苗字・名前 人名に刻まれた歴史」 大藤修 著  「苗字と名前の歴史」坂田聡 著 「戦国を生きた公家の妻たち」後藤みち子 著  ほか